幻の花

第十章「歌姫小町」

九重の 重き衣を 脱ぎ捨てて ともに寝なまし 山科の宿 応天門事件のような恐ろしい事件があっても、…

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第九章「忍び泣き小町」

この旅は つくづく悲し もの言わず 島がくれゆく 君を思へば  ところが世の中は、ままならぬもので…

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第八章「雨乞い小町」

千早振る 神も見まさば 立ち騒ぎ 天の戸川の 樋口あけ給え  貞観八年(八六六年)六月になると、長…

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第七章「流れ星小町」

色見えで 移ろふものは 世の中の 人の心の 花にぞありける  小町が宮仕えに慣れ始めた貞観八年(八…

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第六章「宮仕え小町」

世の中は 飛鳥川にも ならばなれ 君と我とが仲し 絶えずば  貞観七年(八六五年)秋十月、業平の兄…

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第五章「交野小町」

名にめでて 折れるばかりぞ 女郎花 われ落ちにきと 人に語るな  小野良実は二人の娘に、美貌であっ…

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第四章「玉造小町」

わが背子を 都にやりて 塩釜の まがきがしまの 松ぞ恋しき  貞観七年(八六五年)三月、小町の父、…

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第三章「初恋小町」

今はとて わが身 時雨に ふりぬれば 言の葉さへに うつろひにけり  初恋の相手が誰かと問われた時…

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第二章「南国小町」

肥後の国の 男に都より 宮仕への便りあり その男よろこびて 妻むすめと共に 都に向ひけり  『古今…

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第一章「幻小町」

己が身を この世のものに たとふれば 暮れなばなげの 白き花かな  『古今和歌集』を飾る美しい花の…