幻の花

第二十七章「出家小町」

 元慶七年(八八三年)正月二十三日、下出雲寺に於いて、紀有常の七回忌の追善供養が行われた。小町はそ…

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第二十六章「つれづれ小町」

 元慶五年(八八一年)の正月は、昨年末の清和帝崩御により、何とも晴れ晴れしない年始となった。山科の…

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第二十五章「溜息小町」

 元慶三年(八七九年)正月三日、清和帝の護持僧、真雅が遷化した。真雅は内裏に宿直し、幼年からの清和…

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第二十四章「愛執小町」

 元慶元年(八七七年)正月、陽成天皇の母、高子は皇太夫人となり、中宮職となった。流石の小町も、在原…

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第二十三章 「夢追い小町」

 小野の里で、侘しく暮らす小町は、現在の自分の身の上を、浮草のようだと思いはしていても、自分の女と…

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第二十二章 「浮草小町」

 貞観十五年(八七三年)四月、小野小町は従五位下内匠頭、大江惟章に言い寄られた。大江惟章は在原業平…

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第二十一章「鬼姿小町」

 貞観十四年(八七二年)冬、姉、寵子のいなくなった小野の里は寂しかった。小町は憂鬱な気持ちを紛らわ…

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第二十章「母恋小町」

 人康親王を失った哀しみの小町に、尚も不幸が襲いかかった。同じ月の五月十三日、小町の母、文屋秋津の…

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第十九章「四の宮小町」

 貞観十一年(八六九年)正月、在原業平は清々しい新年を迎えた。自分と高子の子供が、天皇になる日を夢…

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第十八章「卒都婆小町」

 貞観十年(八六八年)十月末、小野小町は出羽の国から帰京し、雉丸を連れて再び母のいる山城の国山科郡…