第十五章「みちのく小町」
みるめ刈る あまの行き交ふ 湊路に 勿来の関も 我は据えねど それから小町たち四人は那珂、高萩な…
みるめ刈る あまの行き交ふ 湊路に 勿来の関も 我は据えねど それから小町たち四人は那珂、高萩な…
唐衣きて馴れにし 妻しあれば はるばる来ぬる 旅をとぞ思ふ 貞観十年(八六八年)桜の咲く三月、深…
霧の中 いづ方なりや 如何せん 小舟に乗りて 川下りけり 貞観十年(八六八年)二月の或る日、侍医…
月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身一つは もとの身にして 神泉苑での雨乞い小町に続いての清涼…
まかなくに 何を種とて 浮草の 浪のうねうね 生ひ茂るらむ 貞観九年(八六七年)になると小野小町…
九重の 重き衣を 脱ぎ捨てて ともに寝なまし 山科の宿 応天門事件のような恐ろしい事件があっても、…
この旅は つくづく悲し もの言わず 島がくれゆく 君を思へば ところが世の中は、ままならぬもので…
千早振る 神も見まさば 立ち騒ぎ 天の戸川の 樋口あけ給え 貞観八年(八六六年)六月になると、長…
色見えで 移ろふものは 世の中の 人の心の 花にぞありける 小町が宮仕えに慣れ始めた貞観八年(八…
世の中は 飛鳥川にも ならばなれ 君と我とが仲し 絶えずば 貞観七年(八六五年)秋十月、業平の兄…